「愛実と婚約破棄をしたのは2回目だ。
3回目があると思う方がおかしいだろ。
だからこそ、お前に諦めてもらうために
愛実を婚約させると言ったんだ」

京にぃからの連絡は本当だったんだ

「可能性もないのかよ」

「ある訳ねぇだろ。
2回目の婚約の時が最後のチャンスだった。
愛実もお前にならとも考えた。
だからあの時2度目のチャンスを与えた。
だが、愛実と婚約破棄をしてまで
イタリアに行って、愛実とは違う女と見合いまでしたやつに
また、愛実と婚約をさせるかってなる訳がねぇだろうが」

「・・・っ」

「お前が1年後に来ることは兄貴から聞いて知ってた。
だが、次の婚約は、愛実がすると決めたことだ。
別の男を選ばれても、お前には文句も言う資格も権利もない」

「そう、だよな」

「でもまぁ・・・兄貴は愛実に甘いからな」

え?

「一枠くらい残しておいているんだろうな」

一枠・・・?

「婚約は、愛実が決めることだ。
俺達は何も言えない。
だけどな、篠田HDが今経済界をにぎわせていることは」

「知ってる。世間の的にされていることも
これ以上、親父の好き放題にさせないために
イタリアで経済学を学んで帰ってくるつもりだった。
そんな中での京介からの連絡だったんだ」

「そうか。
一枠でもかけてみたいと思うなら、兄貴の所に行って見ろ」

「京介・・・?」

「今のお前が兄貴に取り次いで貰えるとは、限りなく低いだろうけどな」

「なら、愛実が許してくれるまで、何度でも会いに来る」