項垂れながら、帰っていった翔哉のお父様
だけど、これが事実で、真実。
自分のしでかしたことの重さは、
いずれは自分に帰ってくる。

それが、自分の事だけではなくて、周りをも巻き込むって
分かっていたことでしょう？


「愛実。今日は帰った方がいい」

「え？」

「伊蕗さんも三ツ谷先輩も、迎えには来れないよ？
別の婚約者をピックアップするって言うことは
時間がかかるでしょう？」

確かにそうかも・・・

「大丈夫だよ。別に部活に入ってるわけでもないし
あたしは、この学園で”普通”の生活がしたいだけなんだから」

ふーんっていう芽実の顔は何かを企んでいるようで

「芽実・・・？」

「無理もないか。婚約者が出来たら
嫌でもまた、”誰か”の婚約者として成り立ってしまうものね」

うぅ・・・・

「そんな顔をするくらいなら、翔哉先輩を待っていればいいのに」

「だ、だってぇ」

「だってもないでしょう」

「しょうがないじゃん。迎えに来るって言ったって
今は、翔哉はイタリアで、あたしは婚約破棄をされた人間。
あの家にもいられないから、結局は寮に戻ってきちゃったけど」

「戻ってって」

「あはは・・・」