「残り、1年と数か月・・・。
あたし、別の人と婚約するよ」

「いいのか?」

「うん。伊蕗にぃの言うとおり翔哉が迎えに来てくれる
可能性なんて低いもん。だったら、こっちで、別の人と婚約して
過ごしてもいいかなって思うの」

「分かった。京介付き合え。愛実の婚約者候補のピックアップするぞ」

「愛実・・・」

伊蕗にぃと京にぃの前で泣かなかっただけ
良かったのかもしれない。
翔哉を思って泣くのも、これを最後にしようと思う。
こんな終わり方、誰も想像できなかっただろう

「良かったの?」

「何が?」

「婚約の事」

「うん。いいのこれで。イタリアで見たことが全て
事実とは限らないかもしれないけど、あたしには
残り1年。翔哉を待つことは出来ても、
今回みたいなことが絶対起きると思って、
ビクビクしながら生活をしなくちゃいけないなんて、嫌なの。
だったら、日本でちゃんと正式に婚約した方がいいの」

「まな・・・み」

「きっと、違う人と婚約しても
翔哉以上に好きになれる人なんて、いないだろうけど
好きになる努力はしてみるよ」

「そっか。じゃ、ため込みすぎないでよ?」

「ありがとう。芽実・・・」