「ほ、本当か?」
「本当です! や、八雲さんも、虎之丞さんにはこれからもお客様として、つくもに訪れてほしいと思っているから、敢えて厳しいことを言ったんだと思います……!」
さすがにこのフォローには無理があるかと花は思ったが、八雲は花の思いに答えるように「そうです」と小さく頷いてくれた。
「大変生意気なことばかり申し上げまして、申し訳ありませんでした。どうかこれからも、つくもを末永くよろしくお願いいたします」
三つ指をついた八雲の隣で、花も改めて頭を下げた。
そうして再度、花が虎之丞に料理を進めると、虎之丞は思い出したかのように笑顔になって食事の続きを始めた。
「ありがとう、美味い。やっぱり、つくもの料理は絶品じゃ!」
虎之丞の笑顔を見届けてから、八雲に続いてちょう助と花は松の間をあとにした。
廊下に出て、階段を降りてから、花は思わずふぅーと長い息を吐く。
「よ、よかった……」
ズルズルとその場に尻もちをつきそうになるのをグッと堪えた。
そして何も言わずにその場から立ち去ろうとする八雲を慌てて追い掛けると、八雲の着物の袖をギュッと掴んだ。