「……おい、娘」
「はい、いかがなさいましたか」
「すり胡麻のソースでも食べられると言ったが、どうすればいいんじゃ」
その質問に、花はぽん太とちょう助の三人で、てんすけ茶屋に行ったときのことを思い出した。
思わず花の表情が綻ぶ。
そうして花は元気よく、「こちらのすりこぎで胡麻をすってから、お好みでソースとからめてお召し上がりください!」と答えた。
それからは、あっという間だ。
虎之丞は見かけどおり豪快に活きあじフライに齧り付くと味を変えながら、用意されれていた二枚をペロリと食べきった。
揚げたての活きあじフライの美味しさを、花は身を持って知っている。
夢中になって活きあじフライを食べ終えた虎之丞は、空になった器を見たあとわざとらしく咳払いをしてから箸を置いた。