「いーたーいっ」
「ごめんごめん、ちょっとミスった」


……このあざとさは流石に揺らぐ。



◇ ◇ ◇


「おはよー」
「あっ、おはよ。今日もギッリギリだね?」
「うーん。瀬那が起こしてくれなくてね〜」


いや、起こしたっつーの。バーカ。


学校についてすぐ瑠南に話しかけたのは、俺らと同じ月伽城高校に新設された芸能コースに通うあすか。


違うのは俺や瑠南の所属する進学向けのI類選択じゃなくて、卒業後はそのまま芸能系の仕事を希望するII類に属していること。
人数が少ないからホームルームは同じだけど、授業は全然違う。課題の量もこっちの方が半端ない。


清楚系の雑誌の専属モデルをしている、割と売れっ子なやつで、2個上の、俺らの事務所の先輩と付き合ってる。……らしい。


よくわからない。しょっちゅう別れたりしてるから。


「あんたらまだ恋人ごっこしてんの?長いねぇ〜」
「んー。根本が幼なじみだからねー」