「……っ」






バサっとベッドに手を付く。
璃叶の上、顔が近い。
静かな空間で、ただじっと見つめられる。嫌な笑みを浮かべて。


窓の隙間から差し込む朝日に照らされたホコリと、ベッドから香る瑠南の匂い。


「ねーちゃんのこと、あんまり振り回すんだったらただじゃおかないよ?」


俺の右腕を掴んだまま。
小さな声でそう呟いた。


「……シスコンも、ほどほどにしとけよ」
「ねーちゃんのこと好きで何が悪いの?」


声変わりのしらない、高い声で嬉しそうな声を出す。
いつまで経ってもこの姉弟は本当に。


───パシャシャシャシャシャシャ


「は?」
「……」


部屋の入り口から、こちらに向くスマホ。
瑠南が歯磨きをしながら俺たちのこの光景を写真に収めている。


「……いいね」



瑠南はそれだけ言い残すと、部屋の前から消えた。



「ねーちゃん好きだねーほんと」
「……ほんと、俺そーゆーの担当じゃないんだけど」