いきなり砂川さんが京に話をふったと思ったら、恋人はいるのかなんてプライベートな質問を始めて内心で驚く。
倉掛君もきょとんとしているのがわかった。
「いえ、いませんが」
「そう、勿体ない。
じゃあ誰か好きな女性でも?」
「お答えしかねます」
どうして砂川さん、いきなり京にそんな質問を重ねるんだろうと私の方が焦る。
別に二人は仲がいいようにも思えないし、むしろどこかピリピリとしているような気さえする。
「そうか、いつか教えて貰えると嬉しいんだけど。ごめんね、いきなり君の秘書に色々聞いてしまって」
そう言って砂川さんは何故か私の頭にポンポンと手を乗せた。
どうしていいかわからずにとりあえず微笑んで返しておく。
そうしてしばらくしてから、砂川さんは倉掛君を連れて社長室を後にした。
「…なんか、色々驚いたね」
京と二人になり思わずそう溢すと、京がそうだなと言って返した。