「すごい。私、この歌声すごく好きです」
溢れるように素直にそう感想を言うと、倉掛君はありがとうございますと可愛らしく微笑んだ。
「できれば大人数ユニットじゃなくて、ソロでデビューさせたいと思うんだけど、どうかな」
そう言われて、少し考え込む。
たしかに大人数ユニットよりも、ソロでデビューさせた方が倉掛君のこの声を売れる。
見た目も良いから、今の時代少数派であるがソロでデビューしても多くのファンが付くだろうと言う事は予想できる。
でも。
「ソロもいいですけど、前に砂川さんが連れてこられたスクール生とユニットを組ませるのはどうですか?えっと、あの黒髪の…」
「千葉隼斗?」
「あ、そうです千葉君」
前に父が社長だった頃一緒に紹介してもらった千葉君。
あの子も確かすごく歌が上手くて、倉掛君と歳も身長も同じだったように思える。
見た目の面でも。倉掛君が可愛い系だとすると千葉君はクールでかっこいい系だったように思うからきっと合う。髪の色も茶髪と黒髪で相性がいいような。