「おはようございます。倉掛といいます」

そう言って砂川さんに続いて挨拶してくれたのが、砂川さんが今日見て欲しいといった新人だろう。

(わぁ、すごい綺麗)

白めの肌に色素の薄い栗色の髪、パッチリとした目をした彼はどこからどうみてもきっと目を引くような美青年で、なんだか可愛らしいような印象を受けた。

高校生から大学生の間くらいだろうか。


「おはようございます、芝波です」

私も二人にそう挨拶を返し、後ろにいる京も私に続けて頭を下げた。

「さっそくだけど、この子が昨日見て欲しいって頼んだ、倉掛宗次郎。歳は21。この間ボイストレーニングスクールで見かけて声を掛けたんだ。見た目もこの通り、申し分ないでしょう?」

そう言って砂川さんが倉掛君の肩をポンと叩く。

「はい、すごく綺麗な顔をされてて、見惚れちゃいました」

「うん、
それで何と言っても歌が上手いんだよね」

ここでさぁ歌ってって歌わせるのもなんだから、と言って砂川さんがスマホを取り出し、録音された倉掛君の歌声を再生した。


「……!」

声を聞いた瞬間思わず目を見開く。
甘く透き通っていて綺麗な歌声。
21歳の声とは思えないような、少年的でどこか不安定に感じるような響きも魅力的に思えた。