新居の準備が整った4月、二人は、結婚式を待たずに住みはじめた。
優雅で豊かで、幸せな生活。
紀之は、今までよりも 甘く沙織を求める。
二人きりの家だから。
「紀之さん、どうしたの。」
食事の用意をする沙織を、後ろから抱きしめる紀之に言う。
「いいの。二人だけだから。」
そのまま誘われてしまうことも、幸せで。
毎日一緒にいて お互いを知れば知る程、愛が深まっていく二人。
幸せな余裕が、二人を輝かせていく。
沙織は穏やかな美しさが増し、紀之は責任感が頼りがいに変わる。
週末は 結婚式の準備に ご両親を訪ね 温かな時間を過ごす。
二人の変化に 満足そうに微笑むご両親に、紀之と沙織も微笑み合う。