優しく導かれ、甘く満たされた夜。

高級ホテルからは、美しい夜景が見える。


いつもより言葉が少ない紀之は、沙織を優しい笑顔で甘く見つめ続ける。

ただ静かに髪を撫で、見つめ合っては微笑む二人。
 


何も言わなくていい。

“愛している”とか“付き合ってほしい”とか。


紀之から溢れだす言葉以上の愛を、沙織は受け止めていたから。

そして、愛の言葉を求めない沙織に、紀之は癒されていたから。
 


ただ見つめ合うだけで、体が熱くなることを初めて知った沙織。

紀之は全身で、愛を伝えてくれたから。

目も唇も指先も。沙織に触れる全てが、紀之の愛を伝えていたから。