その日から紀之は、毎日メールをしてくれる。

メールだと、少し大胆に、沙織への好意を言葉にする。

沙織も、少しだけ甘い返事をしてしまう。




紀之が銀行に来た日、
 
《今日は、沙織ちゃんの窓口じゃなくて、残念だった。》

というメールが届く。



また、数日銀行に来ない時は、
 
《やっと明日は、沙織ちゃんに会えるよ。番号札取る時、念力いれるからね。》と。

沙織もつられて、
 
《紀之さんだけ、番号札免除っていうのはどうかな?》と返す。
 


《沙織ちゃんは、俺専属。》

そんな言葉は、胸をキュンとさせて、
 

《意味深。誤解しちゃうよ》と沙織に言わせる。
 
《誤解じゃないよ。それが正解》

と少しずつ本音を滲ませる紀之。

会って話している時は、楽しい冗談ばかりで 何も言わないくせに。



メールは字面が残って、何度も見ることができるから、罪だと思った。