智くんは 帰って来る度に増えているダンボールに 驚き、笑い、恐縮する。
「全部、麻有ちゃんにやってもらって。ごめんね。」
それでも 子供達が眠った後に 手伝ってくれる。
「大丈夫だよ。智くんこそ 仕事の後なのに ありがとう。」
私が 食器を紙に包んで 智くんが それを箱に入れる。
私達が使っている ペアのグラス。
私が それを渡すと 智くんは フッと笑う。
「10年間 割らないで使ってくれて ありがとう。」
私達が 初めて結ばれた日に買ったグラス。
「何だか 恥ずかしい。思い出すねあの日を。」
私は、頬を染めてしまう。