「今の役員と相談して 決めたんだ。智之なら 大丈夫だよ。常務が定年までは 部長で我慢してもらって その後で 常務にするから。」
お兄様が言う。お父様も頷く。
「その常務って 何歳なの。」
智くんは 不安そうに聞く。
「59才だよ。一応、60才で定年だけど65才までは 嘱託で残ってもらえるから。」
お兄様の答えに
「マジで?1年しかないじゃない。」
智くんは 苦笑する。
「俺 肩書きとか いらないからさあ。最初は 普通の営業社員でいいよ。」と言う。
「いや 特別感が大事なんだよ。」
と言うお兄様に
「何だよ それ。」と智くんは笑う。
「一応、創業者一族だからね。みんな注目するじゃない。そこで ちょっと結果を出せば やっぱり って納得するんだよ。」
お兄様の話しは、何となくわかる気がした。
「知らないよ、恥さらしになっても。」
と言う智くん。
でも、自信はあると思う。
そして努力する覚悟も。
でなければ、引き受けないから。
智くんは、そういう性格だから。