「別荘の事を 管理会社に依頼すれば 月々費用がかかるのだから それを考えたら このくらいのお礼では足りないって。それにあれだけ心のこもった管理は 誰にもできないし お金に代えられないって。みんなのお礼の気持ちだからって。」


みんな頷きながら、感心して聞いている。
 

「へえ。なかなか そういう風には 言えないよね。」お兄様が言う。
 
「本当の事じゃない。素直に言っただけだよ。」

智くんは、少し照れながら 笑顔で。
 

「来年からは うちも業績が上がるね。優秀な営業部長に来てもらって よかったな。」

お父様が笑いながら言う。
 

「誰だよ。」智くんも ゲラゲラ笑う。
 

「最初は、営業部長で我慢してくれよな。今の部長を常務に上げるから。智之は 当分は その常務について 仕事を覚えてほしいんだ。」

急に会社の話しになる。
 

「最初から部長はないだろう。俺 何もわからないんだから。」

智くんは 謙遜する。