週末、パスポートのコピーを持って 私達は 松濤の実家に行く。
細かな用事はあるけれど それに かこつけて 一緒に過ごすことが楽しくて。
「軽井沢のお父さんが 航空券の費用だけでも 受け取ってほしいって言っていたよ。」
智くんは 私の両親の気持ちを みんなに伝えてくれる。
当然のように 何も負担しないで 付いていくのではないことを。
「それは、駄目だよ。いつも別荘を綺麗にしてもらっている感謝の気持ちなのだから。」
と、お父様が言ってくれて みんなも頷く。
「そうだよね。そう伝えて 納得してもらったからね。」智くんが言う。
「軽井沢のご両親 義理堅いから。」とお母様は 私を見る。
「でも智くんの説得が すごく上手で。最後は、父も 気持ちよく お願いしますって言っていました。」
私が笑顔で言うと、
「へえ。どんな風に話したの?」とお姉様が聞く。