「あっ、そうだ。私達、今度 引越しするの。お父様達の近くに、一戸建てを買ってもらったの。少し広くなるから パパとママもゆっくり泊まれるわ。」
「何それ。麻有ちゃん、いい暮らしをさせてもらって。我が子なのに 雲の上の人になっていくわ。」
母の正直な言葉に 胸が熱くなってしまう。
「大丈夫よ。私 普段は 慎ましく生活しているから。贅沢や無駄使いは しないし。パパとママの娘のままよ。」
私も正直に言う。
「それは、麻有ちゃん見ていれば わかるわ。でも、美奈子流に言うと 本当のセレブになってしまったのね。」
私は、セレブの生活を望んだ訳ではない。
智くんとの生活を 望んだのだ。
それが、たまたまセレブだっただけ。
智くんと一緒なら パパとママのように 二人で店に立っても、幸せだと思う。