何だか、涙が溢れてしまった。
満ち足りていて。幸せ過ぎて。
肩を揺らして、しゃくり上げる私に
「どうしたの。泣くなんて。」
智くんは 優しく声を掛けてくれる。
絵里加にするように背中を、トントンと叩きながら。
母親になってから こんな風に感情が溢れることは 久しぶりで。
私は 段々 本格的に泣きじゃくってしまう。
「よしよし。今日は、泣いてもいいよ。パパが、抱いていてあげるからね。」
智くんは、私の背中を撫でながら しばらく 私を泣かせてくれる。
気持ちが落ち着いて、私が顔を上げると
「もう、大丈夫?」と私の頬を両手で 包んでくれる。
「ごめんね。ママなのに、弱虫で。」
私は まだ鼻声で。
「いいんだよ。ママだけど 麻有ちゃんだからね。抑え込まないで。俺には なんでも見せていいんだよ。」
智くんの温かさが 心に沁みてくる。
また、泣き顔に戻ってしまう。
「泣き虫 麻有子。」と鼻と突かれ
「智くんの意地悪。」私は 泣き笑いの顔になる。
この幸せな日々を 守る為なら どんな努力でもする。
智くんと家族を守る為なら。
また明日から 戦える。
楽しく 幸せな戦いだけど。