やっぱり、私は変わったと思う。

庶民の家で育った貧乏性だから 浪費はしないけれど。

上流階級の誇りが芽生えていた。

贅沢な経験を 子供達に与えることに 抵抗を感じない。


それが 子供達の成長につながると 信じられるから。
 


一等地の家は 近い将来 廣澤工業の役員となる智くんの為。

名門小学校に通う絵里加の為。

私にできるお父様への恩返しは 智くんが廣澤工業の力になれる様に 家庭を守る事。


絵里加と壮馬を健全に育てること。

いつか 壮馬が 樹君達の力になって 会社を守るために。
 


「ママ、今日のご飯は、なあに?」

造形教室の帰り道、絵里加が言う。
 

「今日は、オムライスとポテトサラダよ。」

繋いだ手を振りながら、私は答える。
 

「絵里加、お手伝いする。」
 

「壮君は、ケチャップをする。」

無邪気な二人の手を引いて歩きながら 私は 責任と充実と幸せで 心が震えた。