火曜日の午前中に、深見さんがマンションに来てくれた。
「ご無沙汰しています。」と挨拶をする深見さんは、洗練された おしゃれな雰囲気のまま。
10年前とあまり変わっていない。
「お久しぶりです。あの節は、本当にありがとうございました。」
私も、心からお礼を言う。
部屋に入った深見さんは、
「わあ。綺麗に住んでいらして。あの時のまま。こんなにキープされているって。感激しちゃう。」と言ってくれる。
私は、コーヒーを入れて、向かい合う。
「このカップも。あの時のですよね。」
深見さんは、軽く興奮した声で言う。
「はい。おかげ様で。ほとんど、あの時に用意して頂いた物で 生活しています。どれも素敵で、とても気に入っているので。」
私も笑顔で答える。感謝の気持ちを込めて。
「本当に感激です。こちらの仕事は かなり細かくご用意させて頂いたので 思い入れがありまして。途中から、自分が暮らすような錯覚をしちゃって。」