ホテルの地下に車を停めて ロビーに上がっていくと お父様達は着いていた。
「お祖父ちゃま。」絵里加と壮馬が 駆け寄る。
お父様は、二人の頭を笑顔で 撫でてくれた。
みんなで 案内された個室に移動して、まずはジュースで乾杯をする。
「絵里ちゃん、合格おめでとう。」みんなに言われて 絵里加は嬉しそうに、
「ありがとうございます。」とお礼を言う。
ゆっくりと運ばれてくる、美味しい料理。楽しい会話。
子供達は、とてもお行儀よく。
私は“上流階級”という言葉を、ふと思い出す。
上流階級の子供達は、小さな頃から こういう経験をしているのだと。
そして、私も上流階級の人になっている事に 気付く。
「智之が、決心してくれて安心したよ。」
お父様は 智くんと私を交互に見て言う。
「年明けから、お世話になります。最初は迷惑かけると思うけど。戦力になれるように努力するからね。よろしくお願いします。」
智くんは、改まって きちんと言う。家族みんなに。
私は少し 胸が熱くなる。
「こちらこそ、宜しく頼むよ。焦らなくていいから。ゆっくり覚えてくれれば。」
お兄様の温かい言葉が 心に沁みる。
「なんか、夢みたいだわ。紀之と智之で 会社を守ってくれるって。」
お母様は 少し涙汲んでいる。
「これも全部、沙織ちゃんと麻有ちゃんのおかげだわ。」
「今の、ちょっとおかしいだろう。俺と智之のおかげ、だろう?」
お兄様のツッコミにみんな笑ってしまう。
「内助の功っていうじゃない。」お母様も笑う。