小さな頃から、一生懸命育てた子供達。

智くんと私の すべてを注いで 丁寧に。

二人とも、心身ともに健康で まっすぐに成長している。


私達の愛情を、一身に受けて。
 
 

「ずっと昔に、このレストランで食事した事、覚えている?」智くんが聞く。
 
「絵里加、覚えているよ。帰りに、あの観覧車に乗ったことも。」

絵里加は、窓の外を見て言った。壮馬は、
 
「俺は、覚えてないな。何才の頃?」と聞く。
 

「壮君は、小さかったからね。10年前だから。まだ4才ね。」私は、微笑む。
 
「4才。年少だよね。無理だよ。」と笑う。
 

「あれから、10年か。早いね。」

智くんがしみじみと言う。
 
「絵里ちゃんも壮君も、可愛かったのよ。小さいのにお利口で。」私も、微笑む。
 

「今だって、可愛いでしょう。」
 
「そうだよ。お利口だし。」

子供達も、笑いながら言う。

難しい年頃なのに 嫌がらず むしろ喜んで 私達と外出してくれる。
 
 

「絵里加のパパとママ素敵って、お友達に評判なの。」

高校生になってすぐに、絵里加に言われた事がある。
 

「パパはね、スラっとしていてカッコいいし、ママは、若くて美人だって。絵里加、嬉しかったよ。」

確か、入学式に二人で出席した後。

昇降口から出てくる絵里加を、待っていた時。

走ってくる絵里加に手を振って。