そして私は、妹の優しい心に感動していた。
「お父さん、行進の練習をしないとね。」
お兄様が言って、みんなが笑顔に戻る。
「あ、そうだ。お姉ちゃんにも、お願いがあるの。ウエディングドレスを貸してほしいの。」
妹も、泣き止んで言う。
「えっ。ドレス?」私は驚く。
「麻有ちゃんのじゃなくて、新しいドレスを作りなさい。バージンロードのお礼に、プレゼントするから。」
お父様も、驚いて言ってくれる。
妹は、首を振りながら、
「お姉ちゃんのが、いいんです。世界一、幸せな奥さんだから。私も、あやかりたいんです。」
妹の言葉に 私はまた 涙を流す。
何でも私のお下がりで、我慢してきた妹。
でも嫌々我慢していた訳ではないと、私の負担を取り除いてくれる。
妹の優しさに みんなの心が熱くなり みんなが 妹の幸せを祈っていた。
智くんに、そっと肩を抱かれた私は、ようやく涙を抑えて言う。
「特別よ。綺麗に使ってね。」妹は、笑顔で
「大丈夫。汚しても、パパに元通りにしてもらうからね。」と言った。