たった一人の女の子の絵里加。
家族みんなが特別に思い 深い愛情で包まれていることを 知っている。
姫と呼ばれて守られ 可愛く甘えていても 女の子らしい優しさと 思いやりをみんなに返す。
お母様やお姉様にも娘のような優しさで接している。
そんな絵里加だから、みんなはもっと可愛がる。
大切に、大切に。
手の中の珠を、みんなで磨くように。
「絵里加ね、お友達も増えて 中学楽しいの。勉強したいことも やりたいことも いっぱいあるし。だからね 大丈夫よ。男の人に熱上げたりしないから。」
絵里加の言葉に、みんながケラケラ笑う。
「姫は偉いね。みんなも姫のことは、信用しているよ。信用できないのは、姫の回りの人達なんだよ。」
お父様は、とても優しく言ってくれる。
絵里加は、真剣な目をする。
「そうか。絵里加は弱いから。絵里加が傷つかないようにってことだね。みんなありがとう。絵里加、気を付けるね。」
素直に頷く絵里加。
「絵里ちゃんの可愛い顔に、傷なんか付けられたら大変だもの。逆恨みとかされてね。」
お姉様は、心配そうに言う。
「学校には、そんな奴はいないと思うよ。でも、電車の中とか 危険はいっぱいあるからね。」
樹君が言うと、絵里加は怯えた目をする。
みんなに心配される幸せを感じて。
「やめてよ。怖くて、学校に行けないよ。」
「そのくらい、用心した方がいいんだよ。絵里加は無防備だからね。」智くんが言う。
「カッ君、明日から一緒に学校行こうよ。」
絵里加は、可愛い笑顔で言う。
「一緒に行って下さい、でしょう。」
と翔君に言われて、みんなが大爆笑になる。