3学期が始まると、絵里加の中学入学の準備が 本格的になる。
制服を揃えたり、備品を買ったり。
ほとんどのお友達が、そのまま持ち上がりなので 絵里加も安心している。
中学校は、電車通学になるけれど さすがに小学校の時のように 緊張することもない。
智くんと参列した入学式。
絵里加の中学生活が、楽しくなることを願う。
たくさんのお友達と、充実して過ごせるように。
「姫の人気がすごいよ。入学早々 “ミス中等部” とか騒がれていて。」
絵里加が中学生になった最初の週末、みんなで行った食事の席で 翔君が言う。
「カッ君、大げさだよ。絵里加、そんな事言われてないよ。」絵里加は笑う。
「本当だよ。2,3年生が言っているの。絵里加は、うちの姫だから。俺が牽制しているけどね。」
翔君の言葉は、頼もしい。
絵里加は、穏やかな性格で 元々友達は多い。
最近は、キラキラと明るく輝き 回りを惹きつけるのだろう。
「翔、ちゃんと絵里ちゃんを守ってよ。変な虫がつかないようにしてよね。」
お姉様は、真剣に言う。
智くんと私は、笑ってしまう。
「大丈夫だよ。いざとなったら、お兄ちゃんを呼ぶから。」
翔君と樹君は、頷き合う。
「本当に、そんな事ないから。心配いらないって。」絵里加が言うと
「姫は、世間知らずだからね。騙されやすいし。俺が同じ校舎なら、誰も近づけないんだけどな。」
樹君の言葉に、みんなが笑う。
「心配してくれて、ありがとう。でも絵里加、騙されたりしないよ。それほど馬鹿じゃないもの。」
絵里加は、少し膨れた後 とびきりの笑顔を見せる。
その可愛い笑顔に、みんなが ほのぼのとする。