「姫、今日のご褒美は、何がほしい?」

お父様は、笑顔で聞いてくれる。
 
「何でもいいの?」

絵里加は、上目使いにお父様を見る。


絵里加は、私達に物をねだることが少ない。

今何が欲しいのか わからない私は、ハラハラする。
 

「ああ。何でも言ってごらん。今日の姫の頑張りに、お祖父ちゃんは感動したから。」

お父様は やさしい瞳で 絵里加に言う。
 

「絵里加ね、スマホがほしい。」

私は、智くんの顔を見る。

智くんも苦笑している。

絵里加は今 子供用の携帯電話を使っている。

中学生になったら、スマホに変えてあげようと話していた。
 


「スマホか。それは、パパとママの許可がないと、お祖父ちゃんは 買ってあげられないなあ。」

お父様は、私達を無視するような事はしない。
 
「パパ、スマホ買ってもらってもいい?」

絵里加は、怖々と智くんを見る。

上目使いの顔が とても可愛くて 智くんは笑ってしまう。
 

「そうだね。中学生になったら、スマホにしてあげようと思っていたから。少し早いけど、ママ、いいかな?」と、私に振る。
 
「そうね。絵里ちゃんが、使い方の約束を守れるなら、いいんじゃない?」私も頷く。
 

「やったー。絵里加、約束守って使うよ。絶対、夜遅くまで 使ったりしなから。」

絵里加は跳ねるような喜びようで。
 

「姫、良かったね。パパもママも、姫を信用しているんだね。明日、買いに行く?」

お父様は、子供達にも 親を立ててくれる。
 

「行く行く。買ってもらったら、カッ君 使い方 教えてね。」

一つ違いの翔君とは、本当に仲が良い。
 
「いいよ。設定して、アプリも落としてあげるよ。」

翔君も、気軽に言う。

本当の妹みたいに可愛がってくれる。