「絵里加ちゃん、学校は、もう慣れた?」
 
「子供は、順応性があるから。毎日、楽しく行っているわ。一安心よ。」

二人でパスタを食べながら話す。
 
「私立の小学校って、どんな感じ?」美咲は聞く。
 
「絵里加の所は、親の出番が少ないから。でもね、通学は心配よ。朝は甥達が一緒だから安心だけど。帰りは一人じゃない。一日目は、帰って来た絵里加を見て 涙が出たわ。」

私は正直に話す。美咲も頷く。
 

「わかるわ。近所の小学校でも、不安だもの。隠れて見張りたくなるわね。」
 

「今は、同じバスのお友達と 一緒に帰って来るらしいの。それでも心配よ。」

でも、親が思うよりも 子供は成長している。

午後の授業が始まった絵里加は、私と壮馬が幼児教室の日 お母様の家に帰る。

私が迎えに行くと、宿題も済ませている。
 


「やっぱり、近くに誰かいないと 子供にも負担がかかるわね。」美咲が言う。
 
「そうなの。子供が増えると特にね。今までは 二人一緒だったから。でも 別行動になって、本当に大変よ。私達は、恵まれているわ。」

お父様達が、絵里加の入学までには家をと言ってくれた意味が 今はよくわかる。
 

「親がお金持ちでも、それに甘んじない麻有子が偉いわ。」美咲は言ってくれる。
 
「当たり前よ。お姉様が強欲な人なら、こんな生活できないもの。本当に感謝しているわ。絵里加のことも、とても可愛がってくれるし。」

私の話しに、美咲は大きく頷く。
 


「私も、職場復帰して 強く感じるわ。実家が近ければ、助かるのにって。」

美咲達は、二人とも地方出身で 大学から東京に出てきていた。

美咲もご主人も 地方から一流大学に進学し 今の職場に就職するためには 相当努力をしたと思う。