私の料理を、“美味しい” と言って食べながら、美咲は言う。
「麻有子、料理も上手だよね。こんなに家庭的だと 思わなかったわ。」
「実は、私も。専業主婦なんて興味なかったもの。でも、家事って不思議よ。手を抜けば、いくらでも抜けるし。ちゃんとすれば、家族から返ってくるわ。」
私は最近、強くそう思う。
愛する家族だから。
自分から、家族の為に何かをしたいと思うから。
でも、それは自分に返ってくる。
家族の健康、子供達の心の成長。
そして、智くんからは、愛と感謝を。
「麻有子の話しって、すごく深いわ。相手に押し付けて 自分は 楽をしようと思うから、ズレが生じるのね。私も努力が足りなかったわ。」
独身の頃は いつも美咲の言葉に 救われていた私。
今美咲が 私と話して気分転換になれば とても嬉しい。
結婚生活は、私の方が少し先輩だから。
その後、お宅拝見と言う美咲に 家の中を案内する。
広々と余裕のある一戸建てに “いいな” を連発していた美咲が
「麻有子、本当にきちんとしているね。私反省したわ。旦那には要求しても、自分は手抜きばかり。何か、少し気持ちを切り替えられそう。」
と言ってくれた。
「よかった。少しでも気分転換になって。仕事始まる前に、またお出でよ。」
私も、とても楽しかったから。
訪ねてくれた美咲に感謝の気持ちでいっぱいだった。