「最初は病気をしたり、大変でしょうね。」

ご機嫌にハイハイする詩帆ちゃんを見て、私が言う。
 
「私が大変よ。病気になるのは、こっちだわ。」美咲は笑う。

お茶を飲みながら、私達は話す。
 

「斉藤主任に、協力してもらうのよ。」

美咲のご主人のことは、私も知っている。

穏やかで優しい人だった。

つい、当時の呼び方で呼んでしまう。

今は、課長に昇進したらしい。


多分、美咲の尻に敷かれているだろう。
 

「協力という名の邪魔よ。むしろいない方が楽って思うわ。」

美咲は、疲れた顔をする。
 
「えー。うちは、智くんが帰ってくると ほっとするわよ。」

智くんの協力は、いつも的確で。

絵里加が生まれた時から、積極的に手伝ってくれた。
 

「麻有子の所は、特別よ。旦那さんが有能だから。できる人って、何をやっても上手なのよね。」

美咲に言われ、私は微笑む。
 

「智くんは、子供達命だから。面倒をみるっていうよりも、自分が関わりたいの。」
 
「すごいわ。うちなんか、ちょっと泣くとお手上げよ。どうすれば そうなるのか 教えてほしいわ。」

美咲は笑いながら、でも半分は 本気で聞く。
 
「何だろうね。本当にすごいのよ。子供達には、献身的なの。今も 毎日二人をお風呂に入れて 寝かし付けてくれるし。」

私は、ちょっと得意になる。
 

「一度、うちの旦那に指導してほしいわ。」