「絵里加姫は 1年生になったら 一人で寝るのかな。」

お父様が絵里加に聞く。
 
「あのね、壮君が一人だと寂しいから 絵里加が一緒に寝てあげるの。」

今も二人は 同じ部屋にベッドを並べて寝ている。
 
「そうか。お姉ちゃんだから優しいね。」

お父様は 絵里加を抱き上げて
 


「それじゃ 合格のお祝いは ピアノがいいかな。」と絵里加に言う。

今は 電子ピアノで練習をしていた。
 
「本当?うれしい。」絵里加は お父様に顔を寄せる。
 


「これじゃあ、可愛い訳よね。」お母様に言われる。

絵里加は お父様から降りると
 


「あのね 絵里加が今持っている電子ピアノは 絵里加達のお部屋に置いて お祖父ちゃまに買ってもらうピアノは リビングに置くの。いいでしょうパパ。」と智くんに聞く。
 

物を大切にするように教えているから。

壊れていない電子ピアノを替えることに ためらいを感じたのだと思う。

私は 絵里加の感性が嬉しかった。
 

「絵里ちゃん、偉いわね。両方大事にするのね。」

お姉様は 絵里加の気持ちを理解し 言ってくれた。
 

「電子ピアノは パパに買ってもらったから。絵里加も壮君も大切にしているの。」

絵里加の優しい言葉に照れながら、
 

「こいつ 将来 断捨離で苦労するな。」と智くんは 笑った。