「付き合って2年目かな。紀之さんから プロポーズされて。嘘でしょう、って思ったわ。嬉しかったけれど。美奈ちゃん流に言って、玉の輿だから。」
お姉様は、私達を見る。
「麻有ちゃんと同じ。お父様もお母様も すごく温かく迎えてくれて。紀之が選んだ人だからって。全然、反対されなくて。私、罠かと思ったもの。」
私は、大きく頷く。
「わかります。私も。」
「私の両親、結婚に反対だったの。家柄が違い過ぎて、自分達が気を使うからって。違うでしょう、それ。だから私、実家に帰りたくないの。」
お姉様は、少し激しく言った。
「でも、廣澤の両親は、本当に温かくて。私、感謝しかないわ。」
「私も。こんなに可愛がってもらって。しかも、お兄様とお姉様にも 仲良くして頂いて。私がこんなに幸せだって事 世界中に自慢したいです。」私が言うと、
「玉の輿、バンザイよ。」とお姉様は笑う。
「私が結婚するって言った時、うまくいくはずないって言った友達もいるの。そんな人に、今の幸せを 見せつけたいわ。」お姉様は明るく笑った。
海から みんなが上がってくると、私達はお兄様を見て 笑う。
「なに、意味ありげな笑顔。」
ちょっと腰を引くお兄様に
「お姉様から聞きました。お兄様が 一目惚れした話し。」私は笑顔で言う。
「沙織。何言ったの?」お姉様に言う。
「大丈夫よ。本当の事しか 言ってないから。」
と笑いながら、お姉様が逃げる。
「それが、ヤバいんでしょう。ちょっと。威厳がなくなるから。」
逃げるお姉様を、お兄様が追う。
みんな、解放されていて。
「お母さん、がんばれー。」と応援する樹君も。
お兄様と一緒に 後を追う翔君も。
私達は、パラソルの下で声を上げて笑う。
最高の夏。お正月なのに。