「どう?麻有ちゃん。」お父様は 私に聞いてくれる。
 
「素敵です。広いし。私達には贅沢過ぎるくらいです。」

お父様達の家に比べれば 小さいけれど。

内部もこだわった贅沢な作りの豪邸だった。
 
「やっぱり一戸建ては ゆったりしているね。和室もあるし。」

智くんも気に入ったようで 笑顔で言う。
 


考えてみれば 智くんは 松濤の家で生まれ育ったのだった。

大森のアパートの時も 今住んでいるマンションでも 不満を言ったことはないけれど。

いつも
 
「麻有ちゃんと一緒なら どんな所でも良いんだよ。」と言ってくれるけれど。

でも 広い家がイヤなはずがない。
 



「宜しければ、お二階もどうぞ。」

担当者の言葉に 私達は階段を上がる。
 

2階は 主寝室と子供部屋が2つ。

各部屋に十分な収納が付いている。

どの部屋もマンションより広い。

トイレと洗面室もあり 2階で休んでも不便はないだろう。



その他に、広いバルコニーや納戸もあって とても住みやすそうな間取りだった。