その後、私達は 免税店でバッグを見る。
お母様は、お姉様と私だけでなく、妹にもプレゼントしたいと言った。
「あんなに孫達を、面倒見てもらって。せっかくの休暇なのに、美奈ちゃん 全然、休まらないでしょう。」
遠慮する妹に、お姉様と私で 後押しする。
「お母様の気持ちだから。お言葉に甘えて頂いたら?」
最後に、母が頷くのを見て 妹は笑顔になった。
私達3人は、同じ高級ブランドの それぞれ好みの形のものを選んだ。
さっきの時計効果で、手頃に感じたけれど それでも十分高価なバッグだった。
「ママも記念に、一つ買ったら。」
私は、母に言う。
「そう思う?実は、昨日 目を付けておいたの。みんなで見てくれる?」
母は ニコニコと、私達を別のブランドショップに案内した。
私達が、買って頂いたブランドよりも手頃で 母らしいベーシックなデザインのバッグを手に取る。
「いいじゃない、ママ。似合うわ。」私が言う。
妹も、笑いながら
「うん。セレブっぽく見えるよ。」と言う。
バッグを提げて、鏡を見ている母。
私は、お母様の顔を見る。
『買ってあげてもいいですか?』と、無言で問いかけながら。
お母様は、笑顔で 私に頷いてくれた。
会計で、私がクレジットカードを出すと 母は驚いて 私を見る。
「たまには、親孝行させて。」私は言う。
「いいの?ありがとう。」
母は、泣き笑いのような表情をした。