聞いていたお姉様は、ケラケラ笑い
「姉妹っていいわね。私は弟しかいないから。」と言う。
「そうでもないよね。私、冷たいお姉ちゃんだったよね。」私は 妹に問う。
「そうそう。がり勉だったから。あまり一緒に遊ばなかったよね。」妹が答える。
「がり勉?」お姉様は笑う。
「本当なんです。地方からだと お姉ちゃんの大学は ちょっと勉強したくらいでは 合格できないんです。学年に一人とか。お姉ちゃんは、相当勉強していたんです。」
お姉様は東京出身だから、想像できないだろう。
地方から名門と言われる大学に、入る事の難しさを。
私は、中学も高校も 勉強以外の記憶がないくらい 勉強をしていた。
「しかも、うちの家計は苦しいから 塾に行けなくて。よく合格したよね。」
妹は今更、驚いた顔をする。
「まあ、ほら、私はエリートの遺伝子だからね。」
私は 照れながら言う。
「そう言えば、大学の友達で 地方出身の子が同じような事を言っていたわ。箱根駅伝に出るような大学に合格すると 英雄になれるって。私、聞き流していたけれど 本当の事なのね。」
お姉様は しみじみと言う。
お姉様も 名門女子大の出身だった。
「中学でも お姉ちゃん、ちょっと有名で“あの高村の妹か”ってよく言われたな。」
妹は、笑いながら言う。
「いやだった?比べられて。」私が聞くと、
「ううん。自慢だったよ。今は もっと自慢だけどね。やっぱり 努力って報われるんだよね。」
妹の言葉に、私は胸が熱くなる。