「絵里ちゃん、壮君。お腹空いたかな。もう少しだよ。」

高速を降りた所で、智くんが 子供達に言う。
 

「レストランでお昼ご飯食べたら 遊園地に行こうね。大きな観覧者があるよ。」

智くんの言葉に
 
「絵里加、観覧者、乗りたい。」
 
「壮君も。あと、ゴーカートあるかな。」
 
「あったら、乗ろうね。絵里ちゃんは、メリーゴーランドかな。」

智くんは、優しい。
 


智くんは またサプライズを用意してくれていた。

美味しい食事を 子供達もお行儀よく食べ終わると あの時と同じように ホールケーキが 運ばれてきた。
 

「わあ。おおきなケーキ。」子供達の歓声が上がる。

ケーキには 10本のろうそくと “スウィート10” のプレートが。
 

「どうして、ろうそく10本なの。誰の誕生日?」

絵里加が、不思議そうに聞く。
 

「パパとママが、結婚して 10年なんだよ。その後で 絵里ちゃんと壮君が 生まれたでしょう。それで 今は4人家族になったんだよ。」

智くんは 一生懸命 子供達に説明してくれる。
 

「パパとママが結婚した時にも このレストランで食事をしたんだ。10年前にね。だから 今日は 家族4人で、お祝いしたかったの。」

智くんの説明を、絵里加と壮馬は 子供なりに 理解しようとしている。
 


「それじゃ、家族の誕生日だね。」絵里加が言う。

私は、胸がいっぱいになる。
 
「そうね。絵里ちゃん。家族の誕生日ね。」
 
「だからパパとママは 家族揃ってお祝いしたかったんだよ。」

智くんは、優しく言う。
 


「みんなで、ろうそく ふーってしよう。」

壮馬が、可愛い提案をしてくれる。
 
「壮君、素敵ね。みんなで、消そうね。」


この可愛い子供達は、智くんと私の宝物。

私達の命の証し。


どれほど愛しても、愛したりないほど、愛おしい。