明日から 廣澤工業に出社する智くんは 一つの区切りとして 横浜からスタートをしようしている。
私と智くんがスタートした あの夜のように。
「レストラン、今日は絵里加と壮馬も一緒だから 個室を予約したよ。ランチだけど。また 仕切り直し、スタートだよ。」
智くんの言葉に 胸が熱くなる。
初めてのデート。
まだ お互いの気持ちさえもわからずに。
私には あの時 別の彼がいて。
でも どうしても智くんに 会いたくて。
会わずにはいられなくて。
そして 会った瞬間から 二人は求め合ってしまった。
10年前の横浜から スタートした。
そして 入籍の後、もう一度横浜で食事をした。
初めての夜を 思い出して。
二人が一緒にいられる幸せに感謝をして。
私が、廣澤麻有子になった日。
私の不安をすべて 智くんは引き受けてくれた。
いつでも 私を深い愛で 包んで。