「楽しみだなあ。」私は ふっと言ってしまう。

子供達の喜ぶ顔が 想像できる。
 
「去年のグアムより ゆっくりできるからね。思いっきり贅沢して 楽しもうね。」

お父様は、優しく言ってくれる。
 

「多分 子供達は 海に入りっぱなしよ。」お母様も笑う。

去年がそうだったから。
 
「子供達は 紀之と智之に任せて みんなで買い物でもするといいよ。」

グアムで、私達は 贅沢な物を 色々買ってもらった。
 

「麻有ちゃん、何気に買い物苦手よね。」お姉様が 笑いながら言う。
 
「はい。値段にビビっちゃうんです。」私が正直に答えると
 
「部長夫人なのにねえ。」と智くんが言う。

みんなが 温かく笑い、幸せが満ちてくる。
 


「軽井沢の母も 楽しみ過ぎて うるさいくらい電話してくるんです。」

私は言う。感謝を込めて。
 

「軽井沢のご両親、本当に良い方だから。私も、すごく楽しみよ。あ、そうだ。麻有ちゃん、せっかくだから、前日に来て泊まっていただいたら?」

お母様の言葉は 温かい。
 
「ありがとうございます。智くんも、そう言ってくれて。話してみたんです。でも、夜のフライトだし、荷造りを分けるのは 大変だからって。当日、早めに来て 家を見せて下さいって言っていました。」


私の幸せな生活を。

父と母が見たら、きっと驚く。

ほっとする反面、寂しいと思うかもしれない。
 


私を、雲の上に行ってしまった と言った母。


でも、父と母が 私を産み 育ててくれたから。


だから今の 幸せな私がいる。


そして 私に代わって、両親の傍にいてくれる妹がいるから。
 


私の幸せは、私だけの物ではなくて。

みんなに支えられて みんなが大切に 守ってくれるから。



私は、感謝を忘れずに 丁寧に生活しなければならない と強く思った。