バルテルの件も曖昧な返事で、全く有能には思えなかった。



その日以降、ランセルに何か言われることは無かった。

けれど念のため、次のお茶会まで少し日を空けることにした。

フランツ夫人に相談したけれど心当たりはないし、特におかしな動きをしていた人はいないと言う。

犯人を特定できない為、お茶会を開けばどんどん情報が流れてしまう。

聞かれて困るような内容は話してないけれど、会話が全て流れた上に気に入らないことが有る度に責められるのは堪らない。

それにやっぱり監視されているのは気分が良くない。

でもお茶会を開かなければ、私の存在なんてあっと言う間に消えてしまいそう。情報も入り辛くなるし。

「手がかりがないなんて困ったな……繋がってるのは誰なのかしら」

ぼそりと呟くと、同じテーブルで本を広げていたフランツ夫人があっさりと言う。

「逆に考えると全員怪しいと言うことです。どなたがランセル殿下と繋がっていても不思議は有りません。一見関係が無さそうでも繋がっていることはままありますので」

「そうよね」

フランツ夫人とバルテル辺境伯家の繋がりも、他の人たちは知らない様子だもの。

「お茶会については、しばらく時間を置きましょう。幸い十日後に王家主催の夜会があります。王妃様の存在を皆に示す良い機会になりますよ」

「それね……国王陛下は出席するのかな」