貴族達がそんな認識だから、国王もバルテルを蔑ろにして真面目に対応してくれないのかな?

戦が起きそうだって言うのに。

「ロウの方は進展があった?」

「いや、変わらずだ。このまま過ごしていても良い方向へは進まないかもしれないな」

ロウがぽつりと呟く。なんだか諦めてしまったみたいに感じる。

「でもそれだと、王家にとっても困るよね。どうして放置しているんだろう」

「王家はバルテル家を見捨てる気だってことだ。だから何の対策も取らない」

「まさか!」

そんなことをしても王家に得はない。インベルが攻めて来た大打撃を受けるんだから。

「有り得ない話じゃない。リセは知らないようだけど、元々バルテルは元はカレンベルク王国の領地では無かったんだ」

「え……?」

カレンベルク王国の歴史については輿入れ前に無理やり知識を詰め込まれた。
建国四百年でバルテルが途中で加わったなんて聞いていない。

どういうことなの?

「バルテルは元はインベル王国の一部だったんだ。だが二百年程前にインベルで内乱が起き、領土の約三分の一がカレンベルク王国に編入された。それが現在のバルテル領」

「……そんなの習ってない」

あんなに沢山勉強をしたのに、なぜそんな重大事件が、スルーされたのだろう。

「事情があって王家が隠しているんだよ。勿論知ってる者は何人かいるが、話が広がらないように規制されている」

情報の規制……この世界にもそんなのあるんだ。