「ねえ、私達、手を組まない?」

「協力ってことか?」

ロウが怪訝そうに眉間にシワを寄せる。

「そう。私から国王にバルテルの件を頼むのは無理だけど、王家がどういう考えなのか探ってみるから。他にも情報が有れば知らせる」

国王に会えなくても宰相とか、政治を行っている大臣なら、なんとか面会出来そうな気がする。

それにお茶会を開いて貴族夫人を招待すれば、何か噂話を聞けるかもしれない。

「……リセが俺に頼みたいことは?」

「私も情報が欲しいの。王妃になると周りに敵が増えるでしょう? 足を引っ張られたくないから対策を取る為に私に関する噂を聞いたら教えて欲しい。それから国王陛下に会えない私はいずれ離縁されるもしれないけど、その時に公爵家には戻りたくないの。国外に出るのに手を貸してくれない?」

こうして口にしてみると、私からの要求の方が大分多い。

平等ではない取引だって断られるかな。

ロウはしばらくの沈黙の後、慎重に返事をする。

「リセの評判を知らせるのは問題ない。でもさすがに離縁にはならないだろ? 夫婦仲が悪いからと言って正式な王妃を簡単に離縁することは国王にも出来ない」

「もしもの時の話。簡単じゃなくても離縁するってなるかもしれないでしょう?」

「……その場合、リセは抵抗しないのか?」

抵抗? する訳がない。むしろ離縁したい。ただし、平穏な状態でに限るけど。

そんな本音を言うのはさすがに憚られるので、控え目に答える。

「私はこの地位に向いていないので」