断るにしてもせめて誠意を見せよう。

「協力したい気持ちはあるけど、本当に無理そう。実は私、一度も国王陛下に会えていないの」

ロウの目が驚愕に見開く。

「会えていない? まさか、一度も会っていないのか? 輿入れの日も?」

「うん。部屋も遠くて偶然会う機会も無いから」

「妃に迎えた相手と会わないなんて、どうしてだ?」

ロウは不審そう顔をしかめる。

「さあ。私も分からない。理由も知らされていないし」

「……公爵には話したのか?」

「言ってないけど、その内気付くと思う」

その内、国王に顧みられない王妃って噂が広がるだろうから。

ロウも困っているようだけど、実は私の方もそんなに余裕はない。

物語の通りに行けば、王妃になってから断罪まで二年以上あるけど、既に時系列が狂って来ている今、前倒しで破滅の日が来るかもしれないのだもの。

かと言って具体的な対策が出来ている訳ではない。

国王を説得して離婚出来る可能性は今のところゼロ。

お茶会を開いて人脈を作り地位を固めようとしても、ランセルが早々に断罪の場を設けたら太刀打出来ないしね。

ああ前途多難……溜息が零れそうになったその時、急に閃いた。


私はとても困っている。ロウも同じくらい困ってる。

だったら私達お互い協力すればいいんじゃないの?

ひとりで動くより絶対にいいに決まってる。特に私は味方が居ない状況だから、ロウが味方をしてくれたら助かる。

思いついたら黙っていられなくなり、早速ロウに打診する。