朝一番の身支度を終えた私は、メラニーに向けて言った。

「国王陛下にお会いしたいの。伝えて貰える?」

国王がどんな人か一度会って確かめてみたい。

小説では国王の内面については全く触れられていなかったから、何も分からないのだ。

相手がどう考え、行動しているのか少しでも知ることが出来れば今後の対応の手がかりになる。

話がわかりそうな相手なら、平和的離婚をお願い出来るかもしれないからね。


けれどメラニーは、私の申し出にあからさまに動揺を見せた。

「で、ですが……」

「どうしたの?」

「……申し訳ございません。国王陛下へのお目通りは難しいかと思います」

「難しい?」

メラニーは無意識かもしれないけれど、目を逸らした。

これはもしかして、誰かに何か言われているのかな? 

「誰かに釘を差されているの? 私を国王陛下に会わせないようにしろと」

メラニーがはっとした様子で目を見開き、その後相当言い辛そうに口を開いた。

「実は宰相様よりしばらく国王陛下との目通りは叶わない為、王妃様にはその様に申し伝えよと命令されておりました。ですがなかなか言い出せずに……申し訳ありません」

メラニーが深く頭を下げる。その少し後ろに控えるレオナも気まずそうだ。

「謝らなくていいから、顔を上げて」

出来るだけ穏やかに告げると、ふたりは恐る恐るといったように顔を上げる。

「宰相からはいつそのように言われたの?」