メニューが出てないからどんな料理を扱っているか分からないし。

店の中は思ったよりも明るく、居心地の良さそうな空間だった。

温かみのある木の壁に、天井には大きな梁が端から端まで渡り、杏色のカーテンが可愛らしい雰囲気を演出している。

丸いテーブルが四脚。一番奥には横に五人程座れそうなカウンターの席があった。

食事の時間ではないせいか他に客はおらず、従業員の姿も見当たらないけれど、ローヴァインは真っすぐカウンターの席に向かう。

慣れた様子で一番左端の椅子を引いた。

「座れよ」

「ありがとう」

ローヴァインは私の隣の椅子を引き座る。

ちょうどそのときカウンターの奥の扉が開き、この可愛らしい雰囲気の店の雰囲気とはかけ離れたいかめしい顔つきの大男が姿を現した。

彼は私を視界に入れると、目を眇める。

なんだか怒っているみたいだ。もしかして私が気に入らないの?

「ガーランド、彼女は俺の連れだから」

ローヴァインがそう言うと、途端にガーランドと呼ばれた男性の表情が和らぐ。

「そうですか。彼の知り合いなら安心ですね。ようこそいらっしゃいました」

安心? 初めてのお客さんが来ると不安になるような事情があるのだろうか。

食堂は誰でも入れると思っていたけど、この世界では違う?

違和感を覚えたけれどローヴァインは、気に留めずガーランドさんに話しかける。