エルマも相槌を打ち、私を不審そうな目で眺めている。

多分、なんでお前ごときが仲良くなってるんだとでも言いたいのだろう。エルマとユリアーネはいつもアリーセを下に見ているから。

ローヴァインは朗らかに答える。

「ええ。公の場に出るのは今日が初めてです。早々にアリーセ嬢と出会えて幸運でした。私達は従兄妹の関係ですし今後も親しくさせて頂きたいと考えています」

その言葉に堪りかねたようにエルマが前に出てきた。

「ローヴァイン様。話し相手をお探しでしたらアリーセに妹がおりますので後ほど紹介させて頂きますわ。ユリアーネと申しましてアリーセと違い愛想がある娘ですのよ」

エルマはロウに対しては笑顔を向けていた。

ユリアーネを売り込み、アリーセを下げるのも忘れない。

「そうだわ。良かったらユリアーネをダンスに誘って頂けませんか?」

「いえ、ご令嬢にはダンスを申し込みたい男が列をなしていそうだ。私は遠慮しておきましょう」

エルマの表情が不快そうに曇る。ユリアーネに関心を示さずあっさり断ったローヴァインの態度が気に障った?

なんとなく気まずい空気が漂いはじめる。

それを察したのか公爵がエルマの腰に手を回しながら言った。

「そろそろ曲が終わるので失礼する」

ユリアーネを迎えに行くのか、ふたりは広間の中央に進んで行く。

ふたりの背中を見送っているとローヴァインの声がした。