彼の正体が気になりながらも、お断りする。
「いえ、お気遣いなく。ひとりで戻れますので」
ランセルの関係者には出来るだけ関わらない方がいい。
公爵家の令嬢っぽく、上品に優しく遠慮する。
だけど彼は予想よりも強引で、断ったと言うのに平気な顔で私に付いてきた。
「また道に迷ったら困るでしょう。それに王宮内とはいえ油断は禁物です」
「大丈夫です。私のことはお気になさらないで」
落ち着かないのでひとりにして貰えますか? と言外に滲ませニコリと微笑む。
「甘く考えない方がいいですよ。若い令嬢を狙う男は多いですから」
検討違いの心配をする彼に、私は内心呆れてしまった。
この人、噂とか興味ないのかな? 他の貴族はアリーセが公爵から疎まれているのを察して距離を置いていたと言うのに。
有能そうなイケメンだけど、実はそうでなくて空気が読めないとか?
疑いを向けていると、彼はすっと目を細めて驚く発言をした。
「それに、あなたは私の従妹殿ですからね。放ってはおけません」
「ええっ? 従兄妹?」
思わず貴族令嬢とは思えない大きな声を出してしまった。
人気のない回廊に、私の間抜けな声が響く。
彼は一瞬顔を強張らせたものの、笑顔で頷いた。
「そうですよ。申し遅れましたが、私はローヴァイン・バルテル。どうかお見知り置き頂きますよう」
「いえ、お気遣いなく。ひとりで戻れますので」
ランセルの関係者には出来るだけ関わらない方がいい。
公爵家の令嬢っぽく、上品に優しく遠慮する。
だけど彼は予想よりも強引で、断ったと言うのに平気な顔で私に付いてきた。
「また道に迷ったら困るでしょう。それに王宮内とはいえ油断は禁物です」
「大丈夫です。私のことはお気になさらないで」
落ち着かないのでひとりにして貰えますか? と言外に滲ませニコリと微笑む。
「甘く考えない方がいいですよ。若い令嬢を狙う男は多いですから」
検討違いの心配をする彼に、私は内心呆れてしまった。
この人、噂とか興味ないのかな? 他の貴族はアリーセが公爵から疎まれているのを察して距離を置いていたと言うのに。
有能そうなイケメンだけど、実はそうでなくて空気が読めないとか?
疑いを向けていると、彼はすっと目を細めて驚く発言をした。
「それに、あなたは私の従妹殿ですからね。放ってはおけません」
「ええっ? 従兄妹?」
思わず貴族令嬢とは思えない大きな声を出してしまった。
人気のない回廊に、私の間抜けな声が響く。
彼は一瞬顔を強張らせたものの、笑顔で頷いた。
「そうですよ。申し遅れましたが、私はローヴァイン・バルテル。どうかお見知り置き頂きますよう」