彼の部下かと思って気にしていなかったけれど、よく見ると王子に引けを取らない華やぎのある若者だった。
すらりと長身で黒に近い濃紺の夜会服を見事に着こなしている。
アリーセと同じ銀髪にアメジストのような紫の瞳の端正な顔立ち。
言動からかなり上位の身分だと感じさせる風格がある。
この人、誰だろう。
明らかに重要人物っぽいんだけど、容姿の特徴から思い当たる人物がいない為分からない。
ランセルは不快そうに眉間にシワを寄せながらも、「そうだな」と呟いた。
謎の男性の提言を受け入れたようだ。だけど私には依然として油断ない視線を送りながら言う。
「公爵家の令嬢がひとりで行動するのは非常識だ。直ぐに公爵の元に戻るように」
「はい。申し訳ありません」
ランセルがなぜこんなに苛立っているのか知らないけど、ここは逆らわずに謝っておく。
むかつくけどここからいち早く離脱する為には、殊勝な態度を貫くのが一番いい。
予想通りそれ以上は何も言われなかったので、礼をしてから今度こそ踵を返した。
背中に視線を感じながらその場を離れる。
走り出したい気持ちを抑えアリーセらしくゆっくり歩いていると、後ろから足早に近づく足音が聞こえて来た。
「ベルヴァルト公爵令嬢、広間まで送ります」
背後からの声に、私は歩みを止めて振り返る。そこにはランセルと一緒にいた謎の男性が佇んでいたので驚いた。
ランセルに言われて来たのだろうか。
すらりと長身で黒に近い濃紺の夜会服を見事に着こなしている。
アリーセと同じ銀髪にアメジストのような紫の瞳の端正な顔立ち。
言動からかなり上位の身分だと感じさせる風格がある。
この人、誰だろう。
明らかに重要人物っぽいんだけど、容姿の特徴から思い当たる人物がいない為分からない。
ランセルは不快そうに眉間にシワを寄せながらも、「そうだな」と呟いた。
謎の男性の提言を受け入れたようだ。だけど私には依然として油断ない視線を送りながら言う。
「公爵家の令嬢がひとりで行動するのは非常識だ。直ぐに公爵の元に戻るように」
「はい。申し訳ありません」
ランセルがなぜこんなに苛立っているのか知らないけど、ここは逆らわずに謝っておく。
むかつくけどここからいち早く離脱する為には、殊勝な態度を貫くのが一番いい。
予想通りそれ以上は何も言われなかったので、礼をしてから今度こそ踵を返した。
背中に視線を感じながらその場を離れる。
走り出したい気持ちを抑えアリーセらしくゆっくり歩いていると、後ろから足早に近づく足音が聞こえて来た。
「ベルヴァルト公爵令嬢、広間まで送ります」
背後からの声に、私は歩みを止めて振り返る。そこにはランセルと一緒にいた謎の男性が佇んでいたので驚いた。
ランセルに言われて来たのだろうか。