なんとか追い出す?

ロウの様子を窺うと、小さく頷いた。

逆らうなってこと?

「ローヴァイン、楽にしろ」

ランセルはそう言いながら、お誕生日席に当たる一人がけのソファーに腰を下ろす。

すごく偉そう。

ロウは言われた通り、腰を落とす。

「それで、現状は? 報告しろ」

なんでランセルが仕切ってるわけ?

むっとしているとロウが流暢に説明を始めた。

「今のところインベルに目だった動きはありませんが引き続き警戒中です。国王陛下の件ですが、当日おおがかりな夜会が有ったことから、城の警備は通常よりも厳重で、外部から侵入するのは困難な為、当日王宮に出入りが可能だった貴族に絞って行動を確認しました。その結果該当者の中で宰相だけが、夜会に出席していないと判明しました」

「宰相が?」

確かに宰相なら国王に近寄るのが可能だし、王宮に詳しい。

でも、あの人夜会にいなかったっけ? 重臣は参加するって聞いていたけど。

記憶があやふやではっきりしない。宰相って地味で存在感が薄いんだよね。

ランセルとかユリアーネだったら簡単に思い出せるのに。

「宰相か…………」

どうやらランセルも覚えていないらしい。

ロウの調査で欠席なのだから、間違いないのかな。

でも宰相が夜会に出なかったのは不自然な気がするし……。

首を傾げたとき、控え目なノックの音がした。ランセルの時と違い、勝手に開いたりはしない。

「はい」

私が声をかけると、フランツ夫人の返事が聞こえて来た。