「……つまり殆ど絞れてないってことだな」
「そうとも言うかな?」
「…………」
しーんとしてしまったところ、フランツ夫人が私の代わりに発言してくれた。
「時間がない為ローヴァイン様にも協力頂ければと」
「それは当然だけど、ひと月じゃ厳しい。もし間に合わなかったらどうするんだ!」
ロウは私より悲観的になっている。
バルテルが切り捨てられるかもって話したときより焦っているみたい。
「まあ、なんとかなるでしょ」
ロウの目が険しくなる。
「楽観的過ぎるぞ!王妃だからって何をしても安泰な訳じゃない、いつ足元をすくわれるかわからないんだぞ」
「それはよく分かっているよ」
アリーセの最期はよく知っているからね。
「分かってないだろ?」
「分かってる。王妃の地位を剥奪、追放されることだってあるって」
それを避ける為にがんばっているのだから。
ロウが目を見開いた。
「リセはとっくに覚悟をしているんだな」
「え……」
それはちょっと違うような。断罪される覚悟は全然出来てないもの。
でもロウは誤解してしまったようで、私よりよっぽど決意をこめた顔になった。
「分かった。もう文句は言わない。最善を尽くして頑張ろう」
「あ、ありがとう……心強いよ」
「伯父上もリセを心配していた」
「そうなの?」