「はい。ですから恐らく王太子殿下が特別に招待したのでしょう」
私は目を眇めて、踊るふたりを見た。
ランセルは大切そうに彼女の腰を抱いている。誰が見てもどんな関係なのか明らかだ。
「彼女はランセル殿下の想い人なのね」
呟くと、フランツ夫人も「おそらく」と私の考えを肯定した。
「驚いたわ。あの人にそんな相手がいたなんて」
お茶会に参加していた貴族夫人たちも、彼は女性に興味がないようだと言っていたし。
でも待って。そうなるとユリアーネと婚約の話はどういうことなの?
貴族夫人達は疑いなく信じていたようだし、ユリアーネ自身も話が有ったと言っていた。
浅はかなところがあると感じるユリアーネだけど、全く何の根拠もなく嘘を言うとは思えない。
ベルヴァルト公爵家に確定ではないまでも、婚約の話があったのは本当なんじゃないかな?
ということは、今のランセルの行動は、彼の独断のもの?
大丈夫なのかな。公爵とエルマが激怒すると思うけど。
想像すると恐ろしい。
でもランセルが先日私に怒りを見せた理由はだいたい察した。
本命の恋人がいるから、余計な噂を流さないで欲しかったんだ。
つまりランセルとしては、ユリアーネを妃に向かえる気などまるでなく、初めから子爵家のマリア様と婚約すると決めている。
なんだか意外……アリーセを容赦なく断罪する冷酷な男のイメージだったのに。
私は目を眇めて、踊るふたりを見た。
ランセルは大切そうに彼女の腰を抱いている。誰が見てもどんな関係なのか明らかだ。
「彼女はランセル殿下の想い人なのね」
呟くと、フランツ夫人も「おそらく」と私の考えを肯定した。
「驚いたわ。あの人にそんな相手がいたなんて」
お茶会に参加していた貴族夫人たちも、彼は女性に興味がないようだと言っていたし。
でも待って。そうなるとユリアーネと婚約の話はどういうことなの?
貴族夫人達は疑いなく信じていたようだし、ユリアーネ自身も話が有ったと言っていた。
浅はかなところがあると感じるユリアーネだけど、全く何の根拠もなく嘘を言うとは思えない。
ベルヴァルト公爵家に確定ではないまでも、婚約の話があったのは本当なんじゃないかな?
ということは、今のランセルの行動は、彼の独断のもの?
大丈夫なのかな。公爵とエルマが激怒すると思うけど。
想像すると恐ろしい。
でもランセルが先日私に怒りを見せた理由はだいたい察した。
本命の恋人がいるから、余計な噂を流さないで欲しかったんだ。
つまりランセルとしては、ユリアーネを妃に向かえる気などまるでなく、初めから子爵家のマリア様と婚約すると決めている。
なんだか意外……アリーセを容赦なく断罪する冷酷な男のイメージだったのに。